これは、中国の中央銀行である中国人民銀行が人民元の対ドルレートの基準値を引き下げたことが原因だとされています。
11日の事実上の切り下げから、13日まで結果的に3日続落となり、対ドルで見ると約4.7パーセントの基準値の引き下げとなりました。
これを受けて、日本でも経済的な影響が懸念されています。
果たして今度の見通しはどうなっているのでしょうか。
人民元切り下げ の詳細
まず、そもそも 人民元切り下げ とは何を意味するのでしょうか。
人民元切り下げ とは、対ドルで算定した人民元の基準値を引き下げることです。
もともと、中国は自国の通貨である人民元に対し、固定相場制を採用しています。
これはどういうことかというと、元は対ドルを基準値とし、その上下2パーセントずつの許容される変動幅で価格をコントロールしようということです。
これは、日本の円や、アメリカのドル、EUのユーロなど他の通貨と比較すると違いが分かりやすいと思います。
これらの国々では変動相場制を採用しており、通貨の価格は、そのときの国際経済や政治、天候など様々な要因により絶えず変動しています。
変動相場制のポイントは、通貨の価格が国家の力関係によって決まっていくということです。
ですから、自国の通貨の価値を国家が個別にコントロールすることはほぼ不可能です。
もちろん、行き過ぎた通貨価値の下落や高騰に対し、中央銀行が介入することはありますが、多くの場合、それは一時的な価格の変動を引き起こすだけで、価格を統制するような効果はあまり期待できません。
対して、中国は、自国の通貨価値を他の国との関係によらずに1国で決定しています。
その鍵となるのが、中国人民銀行が独自の判断で算定する「基準値」です。これに対しては、経済的に台頭しているにもかかわらず、仮に中国が変動相場制を採用している場合と比較して通貨の価値を不当に安く抑えすぎだとの批判の声もあがっています。
今回の人民元切り下げには、GDPの伸び率の鈍化など、中国の経済の悪化がその背景あるようです。
中国政府としては、元安に導くことで自国の輸出に有利な方向へと導き、経済を立て直したいという思惑があるのかもしれません。
まとめ
いかがでしたしょうか。
今回の中国人民元の切り下げの影響で、アジア各国で通貨安競争が勃発するのではないか、あるいは日本も対元で円高となり、輸入に悪影響があるのではないかなどの懸念の声が広がっています。
ただ、一方で、人民元2パーセント程度の切り下げなら経済にそれほど大きな影響も無いのではないかという楽観論もあり、今後の動向に注目が集まります。