現行モデルであるランドクルーザー200系は、2015年8月に衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を採用しマイナーチェンジを行ないましたが、このモデルのデビューは2007年となっています。
存在感、高級感、価格帯(472.8~682.6万円)、どれをとっても超ド級的存在のこの車を、歴史を振り返りつつ改めてご紹介します。
”無骨”から”ラグジュアリー”に
「ランドクルーザー」という車の誕生は、第2次世界大戦中まで遡るという、大変長いものです。当時はもちろん、ジープ同様の無骨な四輪駆動車でした。
時代の移り変わりとともにニーズも多様になっていき、1967年を堺に、ランドクルーザーも40系と50系という2系統に分かれるようになります。
40系の方は後に70系(2014年に限定で日本国内に復活したことでも話題を呼びました)となり、現在その流れは(日本国内では)「プラド」に引き継がれています。
一方の50系ですが、こちらは1980年に60系へとモデルチェンジを果たします。
1980年代前半から、4駆ブームが到来し、三菱・パジェロ、トヨタ・ハイラックスサーフなど、スタイリッシュな4駆が次々とデビューしました。
各モデルとも、年を追うごとに装備の充実、外観の力感アップが図られていったのです。ランドクルーザー60系も、この流れに乗ったと言えます。
電動ムーンルーフを始めとする豪華装備が施され、また、当時流行したオーバーフェンダー付のモデルも途中から設定されて更にワイドになり、今に引き継がれる存在感を確立しました。
オフロードを捨ててSUVへと変化
少し極端かもしれませんが、80系→100系→200系とモデルチェンジを経たランドクルーザーですが、その都度オフロードという本来の土台からは遠ざかって行きました。
まず、80系の後期モデルでコイルスプリングを短いものに変更(スタイル重視)、そして100系では4輪コイル式リジッドサス自体を捨て、フロントサスをダブルウィッシュボーン式サスとしました。
リジッドサスのメリットは、丈夫であることと高い走破性に貢献することですが、同時にサスの下に重い車軸をぶら下げる形となっているため、路面追従性と乗り心地が悪くなるデメリットもあります。
一方のダブルウィッシュボーン式サスは、全く逆のメリット・デメリットになります。トヨタもその辺りは認識していたと見え、海外用には100系のボディに80系の足廻り、という特殊モデルも残しました。
現行の200系のランドクルーザーでは、基本性能として落ちたオフロード性能を、油圧による車高調整機能やスタビライザーの効力調整機能、トラクションコントロールといったハイテク装備により補っています。
しかし、こういった時流による変化は、何もランドクルーザーに限ったものでもありません。
アメリカのジープや、イギリスのレンジローバーなども、同じような流れを辿っています。
それでも現代の王道を行く
全長5m・全幅2mに迫るサイズ、重量約2.7t(ZX)、6速オートマに4.6LのV8エンジンと、どれをとっても超ド級のランドクルーザー200系ですが、本格SUVの基本となるラダーフレームや副変速機などの設計は今も健在です。
砂漠の本場、中近東でその性能が評価され、ランドクルーザー200系としての世界販売台数の6割を占めているといいます。
デビューから9年経ち、そろそろ次のモデルチェンジも気になりだす頃。果たしてランドクルーザーは、今後どのような進化を見せてくれるのでしょうか。