今年も春のお彼岸の時期がやってきましたね。皆さんお墓参りは済みましたか?
昔から続くお彼岸ですが、何故お墓参りをするのか、そもそもお彼岸とはなんなのか知らない人も多いかもしれません。
そこで今回はお彼岸の意味から時期やお墓参り・お供え物のマナーについてまとめてみたいと思います。
お彼岸とは何?
お彼岸とは簡単に言うと、【先祖を供養する日】のことです。
お彼岸は仏教での行事(仏事)の一環なのですが、この仏教では亡くなった先祖のいる世界(極楽浄土)のことを”彼岸(ひがん)”、三途の川を間に挟んで私達が現在生きている世界を”此岸(しがん)”と言います。
そしてこの彼岸と此岸はそれぞれ西と東に位置しているとされていて、それらが最も通じやすい日に供養を行うのが良いとされて始まったのがお彼岸のお墓参りというわけです。
ただしこれらは私達が行う行事としての意味で、お彼岸本来の意味は以下の通りとなります。
- 煩悩を脱した悟りの境地という意味
- 此の迷いの岸である現実の世界(此岸)から、彼の悟りの岸である仏の世界(彼岸)へ到達するという意味
- 悟りをひらけるように仏道修行をする期間
- 6つの徳目「布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧」を意識して実践する期間
この後に説明しますが、特に6つの徳目を意識して実践することが大切です。
お彼岸とお盆の違いについて
お彼岸と似ている行事として夏に行われるお盆があります。
お盆もお彼岸同様、先祖を供養する行事なのですが、お彼岸とお盆は似ているようで違います。
一番大きな点は、お盆は先祖の霊が家族へ会いにお家へ帰ってくるということ。その為に盆の入りでの迎え火と、盆明けの送り火という儀式があるわけですね。
お盆に行う内容としてはお彼岸同様お墓参りやお墓の掃除の他、精霊棚(しょうりょうだな)や盆棚(ぼんだな)、盆提灯を飾ること、そして僧侶を呼んで供養の法要を行なうことなどがあります。
お彼岸はいつからいつまで?
今年のお彼岸の具体的な日付について
今年2018年のお彼岸の具体的な日付は以下のとおりです。
春のお彼岸・・・彼岸入り:9月18日(日)~中日:3月21日(水)~彼岸明け:3月24日(土)
秋のお彼岸・・・彼岸入り:9月20日(木)~中日:9月23日(日)~彼岸明け:9月26日(水)
お彼岸のお墓参りは期間中であればいつ行っても問題ありませんが、一般的に中日頃が一番混む為、お墓の手入れや墓石掃除などは早いうちから余裕をもって行っておくのが良いでしょう。
ちなみにお彼岸の期間はその年ごとに変わります。
よって日にちとして覚えるのではなく、この後説明するお彼岸の期間の意味を理解しておくことが大事です。
お彼岸の期間の意味について
お彼岸は先程「彼岸と此岸が最も通じやすい日」に行うものと記載しました。そしてその日というのが3月の春分の日と9月の秋分の日です。
3月の春分の日と9月の秋分の日は太陽が真東から昇って真西に沈むので、西にある彼岸と東にある此岸がもっとも通じやすい日といわれているわけですね。
これだけだとそれぞれ1日だけになってしまいますが、お彼岸はこれらの祝日を”中日(なかび・ちゅうにち)”としてその前後3日間を含めた各7日間となっています。
そしてその7日間の始めの日を”彼岸入り”、終わりの日を”彼岸明け”と呼びます。
なぜ1日じゃなく7日間なのかというと、お彼岸の本来の意味である6つの徳目を実践する日を含めている為です。
まず7日間の中日、つまり春分の日と秋分の日の祝日はご先祖さまに感謝する日です。これは彼岸と此岸が通じやすい日だからですね。
そしてその前後6日間は、「1.分け与える日(布施)、2.規律を守る日(持戒)、3.怒りをすてる日(忍辱)、4.努力をする日(精進)、5.心を安定させる日(禅定)、6.知恵をあらわす日(智慧)」となっています。
お彼岸の期間はただ単に先祖を供養するだけでなく、人が生きていく上で良いことと悪いことをきちんと判断し、正しい行いができるようになる為の6つの徳目を意識・実践するという大切な期間なのです。
春のお彼岸と秋のお彼岸の違いって何?
お彼岸には春と秋の2回あるのですが、春のお彼岸と秋のお彼岸にはどのような違いがあるのでしょうか?
基本的に祖先を供養する日ということに違いはありませんが、国民祝日に関する法律では
- 春分の日・・・自然を讃え、生物を慈しむ日
- 秋分の日・・・先祖を敬い、亡くなった人を忍ぶ日
とされています。
よって気持ち的な問題ではありますが、春のお彼岸では自然や命を大切に考え、秋のお彼岸では祖先の人達に敬意を払って行動することが良いでしょう。
お彼岸には何をするの?
お彼岸は先祖を供養する日なので、
- お墓参り、お墓掃除
- 仏壇周りの掃除やお線香あげ
- お供え物
- ぼたもち・おはぎを食べる
- 6つの徳目を意識して過ごす
といった供養に関わることを行うのが一般的です。
また、このような直接関わることだけでなく、例えば亡くなったおじいちゃんおばあちゃんとの思い出話をしたりと先祖を想う事も良いでしょう。
そして先程も記載したようにお彼岸の7日間は先祖の供養の他6つの徳目を実践する日となっているので、1日1日ひとつずつ意識しながら生活するようにしましょう。
お彼岸に食べる「ぼたもち」と「おはぎ」の違い
お彼岸に食べるものといえば、ぼたもち・おはぎがあります。でもこの2つの違いってわかりますか?
おはぎとぼたもちは実はその作り方や味自体は同じものなのですが、春に食べるものか秋に食べるものかで呼び方が変わるのです。
これは春のお彼岸の頃には「牡丹(ぼたん)」の花が咲き、秋のお彼岸の頃には「萩(はぎ)」の花が咲くことに由来している為です。
また花の名前で別れているだけでなく、春には収穫をもたらしてもらう為に、秋にはその収穫を祝い感謝する為にという意味でも分けていると言われています。
また現在では特に決まっていない場合がほとんどですが、昔はぼたもちは花びらの大きな牡丹から由来しているために大きめに、おはぎは小さな萩の花が由来なので小ぶりに作られていました。
お彼岸のお墓参りでのマナーについて
では最後に、お彼岸のお墓参りでのマナーについてまとめてみたいと思います。
お彼岸のお墓参りの服装は?
法要を行う場合を除き、お彼岸のときの服装に特に決まりはありません。
しかしあくまで亡くなった人を供養する行事ですので、極端にハデな格好やわざわざ化粧をしたりといった事は辞めておきましょう。
またお墓の掃除や草むしりも行うので、ある程度汚れてもいいような簡単な格好でいくのがベストです。
お彼岸のお墓参りの花やお供え物は?
お彼岸のお墓参りでの花やお供え物も特に決まりはありません。
しかしせっかく華やかに着飾って上げるわけなので、単色ではなく鮮やかな花をいくつか組み合わせてあげるほうが良いでしょう。
もし自分で決めるのが難しい場合は、花屋さんに相談すれば金額に合わせて作ってもらえるのでおすすめです。
また、造花か生花かという決まりも無いので、気持ちを込めて贈ればどんな花でも喜んでくれるはずです。
お供え物に関しても同様で、はっきりとした決まりはありません。
ただ一般的にはお茶やお菓子、そして生前その人が好きだったものを上げるのが定番でしょう。
飲み物や食べ物だけでなく、きちんと線香をあげることも忘れないでくださいね。
正しいお彼岸を理解し、先祖を供養しよう
ということで今回はお彼岸について、お彼岸とはなにか・いつなのか・どうしてお墓参りするのかといった疑問からマナーまでまとめてみました。
お墓参りはお墓の場所にもよりますが、毎日行くのは大変だし時間もかかるもの。でもずっと行かないと亡くなった祖先の人達も悲しんでしまいます。
よってお彼岸やお盆と言った祖先と近くにいられる間くらいはちゃんと向かい、しっかりと供養してあげるようにしましょう。
正しいお彼岸を理解して供養してあげることで、極楽浄土にいる祖先の人達もきっと喜んでくれるはずです。